■20世紀の米国コーラ業界分析

1950年ごろから1990年代にかけての米国コーラ市場に関する分析をします。コーラ原液メーカーであるコカ・コーラ社とペプシ社が様々な施策を打ち出し、市場シェアの獲得を目指しました。
業界構造の恩恵を受け高利益率を維持できたコカ・コーラ社は、1950年ごろまでは市場をほぼ独占します。しかし、ペプシ社の登場により、二社は、ブランディングという軸で競争を行うことになりました。ペプシ社はチャレンジャー戦略を核として家庭向け施策を打ち出し、コカ・コーラの対抗馬であることをアピールすることで、市場内での地位を獲得しました。さらに、対抗戦略を打ち出すことが出来なかったコカ・コーラに対し、ペプシ社は「チャレンジキャンペーン」施策を行い、市場シェアのさらなる拡大を目指しました。結果として、ペプシチャレンジは全米に広がり、コカ・コーラ社はシェア再獲得のための方針転換を余儀なくされました。1981年にゴイズエダ新CEOは傷ついたブランドイメージを刷新するため、社内外で変革を巻き起こしたのです。このように、二社の市場シェアの獲得を目指した様々な戦略によって、競争が繰り広げられ、結果両社とも大きく成長しました。

■1990年代後半までの世界のゲーム市場

1980年代から1990年代にかけての世界のゲーム市場にについて分析します。この時代の世界ゲーム市場は、任天堂一強時代を経て、様々な企業が特徴的なビジネスモデルで、市場シェア獲得を目指しました。
任天堂はファミコンで日本と北米で市場シェアを獲得しました。これは、優良かつ多彩なソフトウェアの品質向上を促すスキームを提供できたことによるものだと考えられます。
セガは、16bitの新市場にいち早く参入しました。その結果、セガのハードウェアが先発メーカーとなり、特に北米で市場の多くを占めることに成功しました。この成功には、旧世代機との互換オプション、多くのソフトの販売、加速的な普及、イメージ戦略の構築といった戦略を採用したことが大きく寄与しています。
3DOも、先鋭的なビジネスモデルを武器にシェアの拡大を目指しました。しかし、その特徴的なビジネスモデルの構造上の課題につきあたり、任天堂・セガの牙城を崩すことができませんでした。

■格安航空会社（LCC）参入前後の欧州航空業界

格安航空会社（LCC）参入前後の欧州航空業界について分析します。戦後、欧州の航空業界は各国政府主導での航空事業会社が発展しました。しかし、1980年代の規制緩和により自由競争が加速しました。
欧州航空業界は、非常に財務的安全性の低く、安全余裕利率の引き上げがKSFとなり得る業界です。そのような業界において、新興企業であったライアンエアは低価格であるという強み打ち出し、シェア獲得を目指しました。これに対し、ナショナル・キャリアであったBritish AirwaysやAer Lingusといった航空事業各社は対抗施策を打ち出します。上質な顧客体験の提供や、低コスト施策に押され、ライアンエアは一時倒産寸前まで追い込まれます。しかし、常に顧客に選ばれる価格設定による利益構造を構築し、大手航空会社や地上輸送と価格や発着時間で差別化をしたことでライアンエアは再建することができたと推察できます。さらに、徹底した低コスト、ライアンエア効果を生むマーケティング、企業利得と個人所得を両立させるインセンティブ形式人事制度の導入といった施策によって、ライアンエアは成功企業となったと思慮します。

■1990年代前半までのウォルマートの成長戦略

ウォルマートは1960年代から1990年代にかけて世界で最も成長した企業の1つです。ウォルマートはディスカウント事業において徹底的なコストリーダーシップ戦略を採用し、サプライチェーンを変革することで成功したと推察できます。

ウォルマートは、コスト削減のために様々な施策を採用しました。物流センターと店舗間での運輸の効率化や店舗でのPOS導入といったデジタル化はその施策の一つでしょう。その結果、Every Day Low price政策を継続的に実施することができ、コスト削減と顧客満足を両立することに成功しました その後もスーパーセンター事業や海外進出といった事業の多角化を行い、経営基盤を強化しました。その際にも、ディスカウント事業で培ったサプライチェーンを流用することで、競合優位性を得たと考えられます。